知っておきたい!水の用語集

炭酸水素イオンとは?人体での働きや効能、適切な摂取方法を解説

更新日 : 2022.01.17

炭酸水素イオンとは?

炭酸水素イオンは炭酸(H2CO3)のうち水素分子が1つ電離した状態の陰イオン(HCO3-)を言い、重炭酸イオンとも呼ばれます。天然には主に水の中に含有しています。つまり、海水や淡水です。しかし、日本で良く飲まれている飲料水である「軟水」の中にはあまり存在しません。ヨーロッパなどで良く飲まれている「硬水」の中に炭酸水素イオンが含まれているものがあります。

また、温泉の中にも炭酸水素イオンを含むものがあり「炭酸水素塩泉」と呼ばれ、人々に親しまれています。さらに、身近なところでは「重曹」が炭酸水素イオンを含んでいます。重曹は科学的には炭酸水素ナトリウムと呼ばれますが、これは炭酸水素イオンとナトリウムイオンの化合物です。重曹を水に溶かすとアルカリ性になるため、酸性の汚れなどを落とす洗浄液になるほか、ふくらし粉やベーキングパウダーとして調理にも利用されます。

炭酸水素イオンの効能

日本温泉協会によると炭酸水素イオンが含まれた温泉(炭酸水素塩泉)は切り傷や末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症に効能があるとされています。さらに飲用では胃や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、糖尿病、痛風が適応症とされています。

また、炭酸水素イオンを含むとアルカリ性となるので、炭酸水素塩泉に入ると肌がヌルヌルします。これは強いアルカリによって肌の表面の余分な皮脂や角質を柔らかくしたり溶かしたりして流すからです。つまり炭酸水素塩泉に入ると肌がツルツルになる効果があります。

【参考】日本温泉協会:温泉の泉質について
https://www.spa.or.jp/onsen/501/

炭酸水素イオンの人体での働き

炭酸水素イオンは人間の体内で酸素や二酸化炭素の運搬に関わっています。人間は呼吸において二酸化炭素を排出しています。この二酸化炭素はまず水と反応して「炭酸」となり、次に炭酸水素イオンと水素イオンに分かれて運搬されます。そして、肺において再び二酸化炭素に戻されて排出されるのです。

したがって、医療現場では炭酸水素イオンの血中濃度の測定により、体内の酸性・アルカリ性のバランスを確認したり、二酸化炭素が体内に溜まりすぎていないか確認したりする場合があります。

炭酸水素イオンの血中濃度の影響

炭酸水素イオンの体内での濃度は一定に保たれる必要があり、バランスが崩れると体調不良の原因となります。炭酸水素イオンが血液中に増えすぎると体がアルカリ性に傾き、けいれん、吐き気、しびれなどの体調不良が出ると言われています。逆に炭酸水素イオンが血液中から減りすぎると、体が酸性に傾いてしまいます。この場合は吐き気、嘔吐、疲労などの症状が起こりやすくなります。

通常、炭酸水素イオンは腎臓の機能によって濃度のバランスが保たれていますが、病気などで腎臓の機能が低下すると濃度のバランスが崩れる原因となります。

炭酸水素イオンの摂取は必要?

炭酸水素イオンは温泉を飲用したり、サプリメントを飲んだりして摂取できますが、必須の栄養素ではないため、特に意識して摂取する必要はありません。温泉、サプリメントや炭酸水素イオンを含むミネラルウォーターなどを飲む際には用法、容量に注意して適量を飲みましょう。

まとめ

炭酸水素イオンは我々の身近に存在する物質で、ミネラルウォーターや重曹、温泉などに含まれます。人間の体内において血液の酸性・アルカリ性のバランスに関わっていますが、腎臓の働きにより一定に保たれるので意識して取る必要はありません。含まれる食品やサプリメントを摂る際は適量を摂取することが重要です。

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