知っておきたい!水の用語集

アルミニウムと水道水の意外な関係、アルミの化学的性質を解説

更新日 : 2022.02.01

アルミニウムとは?

アルミニウムは金属の一種です。有名な金属なのでほとんどの人が聞いた経験があるでしょう。我々の日常生活でも「アルミ缶」や「アルミサッシ」などという日用品がありますが、このアルミとはアルミニウムのことです。アルミニウムは単体では銀白色をしていて、熱や電気をよく通す性質があります。さらに加工しやすく、軽量であるためさまざまな製品に利用されています。

アルミニウムはボーキサイトと呼ばれる岩石から生産されます。ボーキサイトから酸化アルミニウムを取り出し、さらに電気分解によってアルミニウムを取り出します。ボーキサイトは地中に豊富に存在し、確認されているだけでも今後数百年分の埋蔵量があると言われています。また、リサイクル技術も進歩しているため、ボーキサイトが不足してアルミニウムが作れなくなる心配はなさそうです。

アルミニウムと水道水の関係

水道水にはアルミニウムが含まれています。しかし、心配はいりません。人体に害は少ないと言われているからです。確かに水道水には水質基準が定められており、1リットル当たり0.2mg以下と定められています。しかし、これはアルミニウム含有量が増えると水が白く濁ってしまうためで、あくまでも水の見た目を良くするための基準です。

ヒトがアルミニウムを経口摂取しても99.9%はそのまま体外に排出され、吸収されるのは0.1%と言われています。これくらいの含有量であれば人体にほとんど影響はないので大丈夫です。

昔、アルミニウムはアルツハイマー病との関係が疑われたことがありました。しかし、その後の研究では、アルミニウムとアルツハイマー病との関係は確認されませんでした。肯定的な研究も否定的な研究も実験の方法やアルツハイマーのリスクの考え方に問題があり、正確性にかけると言われています。したがって、アルミニウムとアルツハイマー病との関係は完全に否定もできないが、今のところ根拠が見つかっていないため「安全性の懸念を示す根拠はない」と判断されています。

なぜ水道水にアルミニウムが含まれているのか

水道水にアルミニウムが含まれる理由は、水道水の浄水処理の過程で水にアルミニウムを加えるからです。浄水処理は以下の手順で実施されます。

1.着水井に原水を入れる。

2.薬品混和池に原水を移し、硫酸バンドやポリ塩化アルミニウムを加えて砂やゴミを固まり(フロック)にする。

3.フロック成池に水を移して緩やかに攪拌しつつ、2で生成したフロックをより大きなフロックにまとめる。

4.沈殿池に水を移し、フロックを沈殿させて除去する。

5.急速ろ過池に水を移し、砂や砂利の層を通してろ過する。

6.塩素を加えて消毒する。

7.水道に供給する。

この過程のうち、2の段階でアルミニウムが投入されます。投入されたアルミニウムはゴミや砂と一緒にろ過されるので大部分は取り除かれますが、一部は水道水中に残ってしまうのです。

アルミニウムは家庭でも除去できる?

アルミニウムを家庭で除去するのは難しいです。総トリハロメタンなどとは異なり、沸騰では除去できません。一部にアルミニウム除去を謳っている浄水器もあります。しかし、今のところ人体に対する害は確認されていませんし、普通の水道水でも水質基準で管理されています。よって、アルミニウムについては気にせず飲んでも特に問題は無いと思われます。

まとめ

水道水にはアルミニウムが含まれます。なぜなら水道水を浄水する過程でアルミニウムを投入するからです。大部分のアルミニウムはゴミや砂と一緒に除去されますが、一部は残っていまいます。しかし、人体に影響の無い量しか残らないため大丈夫です。アルミニウム除去を謳っている浄水器もありますので、購入を検討してみてはいかがでしょうか。

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