知っておきたい!水の用語集

水道水を飲むだけで鉄分が補給できる?鉄と水道水の関係

鉄とは?

鉄は金属の一種です。おそらく鉄という金属を知らない人は少ないでしょう。かつて「鉄は国家なり」という言葉もあったほど人類の文明には欠かせない物質で、私たちの身の回りの物にもたくさん利用されています。

鉄は単体では銀白色の光沢を放つ物質です。身の回りの鉄製品には黒い色をした物が多いと思いますが、これは黒サビと呼ばれる酸化皮膜で表面を覆っているからです。通俗的に「鉄が錆びた」と言われるときのサビは「赤サビ」で、これは鉄を腐蝕させてボロボロにしていく性質を持ちます。そこであらかじめ黒サビで表面を覆って赤サビの発生を抑えるのです。黒サビは特殊な薬品を塗布して生成する被膜で、自然には発生せず、鉄を腐蝕させません。

鉄と人体

鉄は人体にとって必須のミネラルとしても知られています。人間の体内では合成できないので、食べ物や飲み物から摂取しなければいけません。鉄分は人間の体内で、血液中の赤血球を構成する材料となります。つまり鉄分は酸素を全身に供給する働きに携わっているのです。したがって、鉄分が不足すると全身への酸素の供給が滞り、貧血になります。

日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、人間が摂るべき鉄分の推奨量は成人男性で1日あたり7.0〜7.5mg、妊娠・授乳していない成人女性で1日当たり6.0〜6.5mgです。さらに、妊娠・授乳をしている女性は上記の推奨量に加えて以下の量を追加して摂らなければなりません。

● 妊娠初期…2.5mg
● 妊娠中期・後期…9.5mg
● 授乳期…2.5mg

また、耐容上限量も決まっており、成人男性で1日に50mg、成人女性で1日に40mgです。これ以上の量を摂ると健康を害する可能性があります。

【参考】日本人の食事摂取基準(2020年版)/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

鉄と水道水の関係

水道水には鉄が含まれています。なぜなら原水である河川や湖の水に鉄分が含まれているからです。また、鉄製の給水管を使用している場合は給水管の内壁から鉄分が溶け出して水道水へ含まれる場合があります。水道水に鉄分がたくさん含まれると、鉄っぽい臭いや味の劣化の原因となったり、洗濯物にシミをつけたりします。

さらに、古い鉄製の給水管は内壁の鉄が錆びてしまい、水が赤茶色に染まってしまう場合があります。この場合はしばらくの間、水を出し続けると透明な水に戻る場合が多いです。

日本の水道水質基準では鉄分は1リットル当たり0.3mg以下と決まっています。人間が1日に飲める水の量を考えると、水道水を飲んで鉄分の過剰摂取になることはほとんど無いと考えられます。ただし、給水管のサビの影響で赤茶色に染まった水は長期間飲むと健康を害する可能性があるので、赤水が出た場合は給水管の交換を検討したほうが良いでしょう。

鉄分の除去方法

家庭で鉄分を除去することもできます。しかし、それには除鉄槽と呼ばれる特殊な浄水器を使う必要があります。除鉄槽は主に鉄分を多く含んだ井戸水の鉄分除去に利用します。普通の浄水器よりも大型で高額なものが多いです。一般的な水道水用の浄水器では鉄分には対応していない製品が多いです。水道水中に含まれる鉄分は人体に害が無い量で、かつ、味や臭いにも影響しない量に規制されていますので、特に除去するメリットが薄いためと考えられます。

まとめ

鉄は私たちの生活に必要不可欠な物質で、人体にも必須のミネラルです。水道水にも含まれていますが、多量に含まれすぎると味や臭いの劣化の原因となります。したがって、水質基準によって規制されており、水道水の中の鉄分は問題ない量である場合がほとんどです。古い給水管は鉄製の場合があり、その場合は鉄分が増えてしまうことが考えられます。水の色が赤茶色に変わったりした場合は給水管の交換を検討したほうが良いでしょう。

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