クロロホルムとは?化学的性質や毒性、副作用、除去方法について解説

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クロロホルムとは?

クロロホルムとはトリハロメタンの一種で、トリクロロメタンとも呼ばれます。エタノール、アセトアルデヒド、アセトンなどに次亜塩素酸カルシウムを反応させて生成します。用途としては医療用の溶媒や試薬として使われています。昔は吸入麻酔薬として使われていましたが、肝臓に障害が起きる可能性があり、より安全な麻酔薬に移行していきました。したがって、現在では麻酔薬としてはほとんど使われません。

クロロホルムの毒性

クロロホルムには毒性があることで知られています。国際がん研究機関(IARC)ではマウスを使った実験においてクロロホルムに発がん性が認められたとしています。また、別の機関の実験ではマウスへの経口投与において、運動失調や急性の神経症状、肝臓の障害が認められました。さらに、ラットへの経口投与においては筋肉弛緩、運動失調などの症状が認められました。

ヒトへの影響については、クロロホルムの摂取後に肝障害や意識の喪失、消化器症状、黄疸が生じたケースが報告されています。また、早産や子どもの低出生体重など妊娠に悪影響であるケースもあります。

【参考】有害性評価書、物質名:クロロホルム/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000087455.pdf

クロロホルムに対するよくある誤解

クロロホルムはその効果が誤解されるケースが多い物質です。なぜなら、よくフィクションのドラマや映画などで架空の道具として登場するからです。サスペンスドラマなどで悪役がハンカチにクロロホルムを染みこませて、後ろから被害者の鼻と口元に押しつける。そうすると被害者が数秒で意識を失ってしまう。そのようなシーンを見たことあるでしょう。

しかし、あれはあくまでも演出上のウソであり、実際のクロロホルムにあそこまで強い麻酔作用はありません。布に垂らしたクロロホルムでは何分間も深く吸い込まなければ意識を失うまでは至らないのです。クロロホルムは現実でも麻酔薬として使われていたのは事実ですが、フィクションにおけるあのような使い方は非現実的といえるでしょう。

クロロホルムと水道水

日本の水道水は塩素によって消毒を実施しています。ところが、水道水の原水に含まれる有機物と塩素が反応するとクロロホルムが生成されるのです。したがって、現在の日本の水道水ではクロロホルムの含有量が水質基準によって規制されています。水道水質基準ではクロロホルムは1リットル当たり0.06mg以下でないと水道水にはできません。幸いにも近年では水質基準の10%未満の量しか検出されない場合が大半なので、そこまで心配する必要はありません。万が一、水質基準を上回るクロロホルムが検出されても、浄水場における活性炭処理によって速やかに対策が実施されます。

クロロホルムの除去方法

水道水に含まれるクロロホルムが心配ならば、沸騰によって簡単に除去できます。水道水をやかんや鍋で湧かすだけです。ただし、沸騰している時間が短時間だと除去できませんので、10分〜30分程度沸騰させ続ける必要があります。

また、活性炭のカートリッジを用いた浄水器の中にはクロロホルムを除去できる製品があります。ただし、フィルターの有効期限が切れている場合は除去性能が落ちる可能性がありますので、フィルターは定期的に交換しましょう。浄水器を通した水道水は殺菌のための残留塩素も除去されてしまいます。したがって、雑菌が湧きやすくなりますので早めに飲みきりましょう。

【参考】沸騰による高度浄水処理水のトリハロメタンおよび全有機ハロゲン(TOX)濃度の変化
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jec1991/15/1/15_1_137/_pdf

まとめ

クロロホルムはトリハロメタンの一種で毒性を持つ化学物質です。一定以上の量を摂取すると人体に様々な影響が出ます。水道水の中にも含まれている場合がありますが、大半は水質基準よりずっと低い量しか検出されません。したがって、あまり神経質になる必要はありませんが、心配ならば沸騰や浄水器によって除去できます。

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