総トリハロメタンとは?発生の仕組みや家庭でもできる除去方法を解説

更新日:

総トリハロメタンとは?

総トリハロメタンとは日本の水道水の消毒で生成される4つの物質の総称です。トリハロメタンのうちクロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、トリブロモメタンの4つをまとめた総称です。これらは水道水を塩素消毒するときに発生する物質として知られています。

トリハロメタンとは?総トリハロメタンとの違い

トリハロメタンとは、メタンの持つ4つの水素原子のうちの3つがハロゲンに置換された化合物の総称です。例えば、メタンの化学式はCH4ですが、クロロホルムならば水素原子であるHのうち3つが塩素原子(CL)に置き換わり、CHCL3になります。

一方、総トリハロメタンはたくさんあるトリハロメタンのうちクロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、トリブロモメタンの4つのみを指します。総トリハロメタンは日本の水道水質基準で定められた検査項目の名称です。

総トリハロメタンの発がん性

WHO(世界保健機関)はトリハロメタンのうちクロロホルムとブロモジクロロメタンを「グループ2B:発がん性の恐れがある」に分類にしています。

マウスによる動物実験ではこれらの物質に発がん性が認められたそうです。ただ、人間に対してどうなのかはまだ研究段階で結論が出ていません。したがって「恐れがある」という評価になっています。

【参考】WHO:List of Classifications, IARC Monographs on the Identification of Carcinogenic Hazards to Humans
https://monographs.iarc.who.int/list-of-classifications

総トリハロメタンが発生する仕組み

総トリハロメタンは消毒副生成物とも呼ばれ、塩素消毒の際に副次的に生成される物質として知られています。なぜ、水を塩素で消毒すると総トリハロメタンが発生するのでしょうか?

それには川や湖の水に含まれる「フミン質」と呼ばれる物質が関係しています。フミン質とは植物などが腐って微生物によって分解されたときに出る有機物です。化学的には炭素、水素、窒素、酸素などから成ります。

このフミン質をはじめとした有機物に対し、消毒に使われる塩素が混ざると、化学反応を起こして総トリハロメタンが生成されるのです。

水道水に含まれる総トリハロメタン

上述したように、水道水を消毒するときに総トリハロメタンが発生するため、私たちが普段飲んでいる水道水にも総トリハロメタンが含まれています。日本の水質基準では、総トリハロメタンの基準を以下のように定めています。
● 総トリハロメタン:0.1 mg/L

さらに、日本では総トリハロメタンに含まれている4種の物質についても、以下のように個別に基準値を設けています。

● クロロホルム:0.06 mg/L
● ジブロモクロロメタン:0.1 mg/L
● ブロモジクロロメタン:0.03 mg/L
● ブロモホルム:0.09 mg/L

これらは人体に影響が出る水準よりもずっと少ない量です。しかし、水道水に含まれる総トリハロメタンはゼロではありません。

総トリハロメタンの家庭での除去方法

水道水に総トリハロメタンが入っていても心配いりません。家庭でかんたんに除去できます。以下に水道水から総トリハロメタンを除去する方法を2つご紹介します。

10分以上沸騰させる

トリハロメタンは一定時間以上沸騰させると揮散させられます。注意しなければいけないのは十分な時間の沸騰です。なぜならトリハロメタンは短時間の沸騰では逆に増えてしまうからです。10分〜30分は沸騰させたほうが安心です。

【参考】煮沸による高度浄水処理水のトリハロメタンおよび全有機ハロゲン(TOX)濃度の変化
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jec1991/15/1/15_1_137/_pdf

浄水器・ウォーターサーバーを利用する

浄水器の中には総トリハロメタンを除去できる製品があります。内部のフィルターに搭載された活性炭やろ過膜によって除去する仕組みです。ウォーターサーバーの中には塩素消毒ではなくろ過と加熱によって殺菌をしている製品もあるので、そのような製品の水ならば総トリハロメタンは含まれていません。

まとめ

総トリハロメタンは塩素消毒によって発生する有害物質です。これらの物質は水道水にも含まれますが、人体に影響のある基準値以下しか含まれていません。それでも心配ならば煮沸や、浄水器、ウォーターサーバーの利用を検討すると良いでしょう。ただし、多くの浄水器やウォーターサーバーは消毒用の塩素を除去する効果もあります。塩素を除去すると細菌が繁殖しやすくなるため、早めに飲みきることをおすすめします。

関連記事

ナトリウムとは?性質や働き、適正な摂取の仕方について解説

記事を読む

浄水とは?RO水や天然水との違いを解説

記事を読む

海水とは?海水の塩分濃度はどのぐらい?濃度の違いや飲むことで考えられるリスクを解説

記事を読む

残留塩素とは?人体への影響と除去方法を解説

記事を読む

ブロモホルムとは?水道水に含まれる理由や毒性、除去方法を解説

記事を読む

水の水質汚濁を知る指標「溶存酸素」とは

記事を読む

連載企画

浄水器と比べてみよう!

ウォーターサーバーと浄水器との比較情報、フィルターや選び方など解説しています。

記事を読む

知っておきたい!水の用語集

水の種類・水道水に含まれる成分など、ウォーターサーバー関連用語を解説します。

記事を読む

ウォーターサーバーについてもっと詳しく!

ウォーターサーバーについて、電気代や用途、選び方まで様々な情報を紹介します。

記事を読む

暮らしに役立つお水の知識

ペットに適したお水の種類や、賞味期限など普段使っているお水にについて解説します。

記事を読む

赤ちゃんとこどものために

赤ちゃんとこどもに関するお役立ち情報、ウォーターサーバー活用法をご紹介。

記事を読む

美容・健康に嬉しいお水の効果

身近にあるお水が、私たちの健康や美容にもたらすの効果について詳しくご紹介します。

記事を読む

もしもの時の災害に備えて

ウォーターサーバーの災害時への対策や活用方法をご紹介。

記事を読む

徹底解明!ハミングウォーター

ハミングウォーターを実際に一般の方に使ってもらい、レビューを頂いています。

記事を読む

水道水との付き合い方、教えます。

水道水をもっと知るために、成分を調査したり、おいしく飲める方法を探求しています。

記事を読む

ウォーターサーバー累計販売台数No.1

※日本マーケティングリサーチ機構調べ 2022年11月期浄水型ウォーターサーバーに関する指定領域における市場調査 ※サービス開始~2021年末の累計数