カリウムの働きと効果とは?基準摂取量や多く含む食品を解説

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カリウムとは?

カリウムとは成人の体内に120g~200gほど含まれているミネラルの一種です。ナトリウムに似た性質を持っており、ナトリウムと共に主成分として体液を構成しています。体内のカリウムの多くは細胞内に存在し、ナトリウムと同じように細胞内液の浸透圧を調整する働きをしています。また、神経の興奮や筋肉の収縮にも密接に関わっています。

カリウムにはナトリウムを体外へ排出する作用があります。したがって塩分の採りすぎを調整するのに役立ちます。

カリウムは化学的にはアルカリ金属の一種です。他のアルカリ金属と同様に化学反応を起こしやすいので、自然界においては単体では存在せず、化合物の形で存在しています。主に地中の石や岩の中に含まれているため、私たちの身近に存在する物質と言えます。食品の中にも豊富に含まれており、人体へはそのような食品を介して摂取されます。

1日に採ってもよいカリウムの量

厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によれば、健康な18歳以上の男性なら1日に2,500mg、女性は1日に2,000mgが目安量と規定しています。
ただし、生活習慣病の予防のためには1日に男性3,000mg以上、女性2,600mg以上の摂取が目標とされています。

平成30年度国民健康栄養調査結果によると、現在の日本人の平均カリウム摂取量は1日に2,290mgです。したがって、日本人が普通の平均的な生活をしていれば、概ね目安量に近い量は摂取できると言えます。しかし、生活習慣病の予防のための目標量にはまだまだ足りていません。したがって、健康を考えるのであれば普段から意識的にカリウムを多く含む食品を摂るなどの対策が必要でしょう。

【参考】厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020 年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

厚生労働省:平成30年度版国民健康栄養調査
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/h30-houkoku_00001.html

カリウムが過剰に摂取されるとどうなる?

カリウムが過剰に摂取されても腎機能が健康であるならば尿と共に排出されるので問題となるケースは稀です。しかし、腎機能に問題が生じている場合、カリウムの排出が上手くできなくなり、高カリウム血症などの症状が出る場合があります。

高カリウム血症とは血液中のカリウムの濃度が正常範囲から逸脱して濃くなってしまう病気で、悪心、嘔吐、しびれ感、知覚過敏、脱力感、不整脈などが症状として現れます。したがって、病気などで腎機能が低下してきた場合はカリウムを制限するなどして血中濃度の上昇を抑える工夫が必要です。

カリウムが不足するとどうなる?

日本人の平均的な食生活を通常通り送っていれば、カリウムの不足はまず起こりません。しかし、何らかの原因でカリウムが多量に体外に排出されると低カリウム血症になる可能性があります。その原因とは、主に以下の3つが考えられます。

  1. 著しい食欲不振や偏食によってカリウムの摂取量が減る
  2. 激しい嘔吐や下痢、利尿剤の利用によってカリウムが大量に体外に排出される
  3. 薬剤の副作用や疾患の症状により血液中から細胞内へカリウムが移動してしまう

カリウムが欠乏すると、初期症状として脱力感、筋肉痛、動悸、食欲不振などが発現する場合があります。さらに症状が進行すると筋肉の麻痺や歩行困難、意識消失など、重篤な症状が出る可能性もあります。

カリウムが多く含まれる食品

カリウムは海藻類、豆類、野菜、いも類、肉類、魚介類、果物などに多く含まれています。以下にカリウムが含まれる具体的な食品を記載します。

海藻類こんぶ、ひじき、あおさ、のり
豆類大豆、あずき
野菜切り干し大根、ほうれんそう、えだまめ、にら、こまつな、しそ
いも類さつまいも、さといも、ながいも、じゃがいも、さつまいも
肉類豚肉、牛肉、鶏肉
魚介類さわら、かんぱち、たい、まぐろ
果物あんず、いちじく、ぶどう、柿、バナナ、キウイ、いちご

カリウムはナトリウムを適切な濃度に調整するのに役立つので、塩分の多い食事の日はカリウムが多い野菜なども合わせて摂るなど工夫すると良いでしょう。

カリウムを多く摂るための工夫

水を沸騰させて食材を茹でた場合、ゆで汁や煮汁にカリウムが溶け出してしまう性質があります。したがって、カリウムを多く摂りたい場合は、水で茹でず、電子レンジや蒸し器で熱を通すと良いでしょう。また、生で食べられる食材を積極的に摂取するのもおすすめです。

カリウムを控える必要がある場合の調理法

食材を茹でるとカリウムが溶け出してしまう性質がありますが、この性質を利用して食材の中のカリウムを減らすこともできます。カリウム摂取を控える必要がある人は、できるだけ食材を生で食べず、茹でて水を切った状態で食べるとよいでしょう。

目安として根菜であれば10分〜15分程度、葉物類は3〜5分程度、たっぷりのお湯で茹でると、14%〜50%程度のカリウムを除去できます。食材をクタクタになるまで茹でる必要はなく、あくまでも美味しく食べられる時間だけ茹でれば十分です。

【参考】東邦大学:栄養素の名は
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/ohashi/neph/patient/tjoimi0000000aor-att/tjoimi0000000b91.pdf

まとめ

カリウムは必要不可欠な栄養素です。余分なナトリウムを排出する効果があるので、目標量を摂取すれば生活習慣病の予防に効果的です。採りすぎても健康なら問題ありません。しかし、腎機能に問題がある方はカリウムの摂取量を抑える必要があります。個人の健康状態に応じて適正な摂取を心がけましょう。

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