知っておきたい!水の用語集

水溶性シリカとは?人体に対する効果と科学的な根拠について解説

更新日 : 2021.12.20

水溶性シリカとは?

水溶性シリカとは別名「水溶性ケイ素」と呼ばれる物質です。ケイ素の化合物の中で、ケイ酸など水に溶ける性質があるものを総称して「水溶性シリカ」または「水溶性ケイ素」「非結晶化シリカ」と言います。

シリカってどんな物質?

シリカとは二酸化ケイ素のことです。二酸化ケイ素とはケイ素の酸化物で、石英、瑪瑙(めのう)、オパールなどの中に含まれます。我々の身近なところでは、ガラスの原料として有名です。

ケイ素が酸化すると二酸化ケイ素となり、これがシリカと呼ばれます。つまり、シリカとはケイ素化合物の中で二酸化ケイ素のみを表します。ただ、健康食品などのマーケティングにおいて、通俗的な用語として二酸化ケイ素に限定せず「ケイ素」という言葉をそのまま「シリカ」と置き換えている場合があります。科学的に厳密な定義とは異なる場合があるので注意しましょう。

ケイ素ってどんな物質?

ケイ素とは炭素族元素の1つで我々の身近にある物質です。石や岩、砂、水、空気の中にたくさん含まれており、動物の体内や植物の中にも存在します。地球上に豊富にある物質であるため、工業的にも多く使われています。半導体などの原料に使われる「シリコン」という言葉を聞いた経験がないでしょうか?あのシリコンとはケイ素のことです。

水溶性シリカを摂取すると危険?

水溶性シリカは我々が食べているさまざまな食品の中にも含まれており、摂取したからといって特に害はないと言われています。厚生労働省が出している省令にも以下のように規定されています。

「第十二条 法第十二条の規定により人の健康を損なうおそれのない添加物を別表第一のとおりとする。 別表第一(第十二条関係) 二百八十八 二酸化ケイ素(別名シリカゲル)」

【参考】昭和二十三年厚生省令第二十三号食品衛生法施行規則
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323M40000100023

シリカゲルはよくお菓子などの乾燥剤として使われているので聞いた経験のある人も多いでしょう。シリカゲルは純度99%以上の二酸化ケイ素(シリカ)からできており、間違って食べてしまっても安全性が比較的高い乾燥剤として知られています。

また、同じく厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準2020年版」でもシリカの耐容上限量は設定されておらず、通常の食生活を送っていれば、特に過剰摂取を気にする必要もないと思われます。

【参考】日本人の食事摂取基準(2020 年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

水溶性シリカの人体への効能

水溶性シリカの人体への効能については今のところはっきりとは解明されていません。「日本人の食事摂取基準2020年版」においても、水溶性シリカは必須ミネラルの項目には入っていません。したがって、どれぐらい摂取すればどのような効果があるのかもはっきりわかっていないようです。

一方で、1970年代のアメリカとイギリスにおいて、シリカの摂取量と人間の骨密度の関係を大規模に調査した研究があるようです。この研究では男性と閉経前の女性については股関節の骨密度にシリカの摂取量との正の相関関係が見られましたが、閉経後の女性については相関関係が見られず、また、腰椎の骨密度については有意な相関関係がなかったそうです。この研究結果から考えると一部の骨の形成にシリカが有益な影響を与えている可能性はあるかもしれません。

【参考】Dietary silicon intake is positively associated with bone mineral density in men and premenopausal women of the Framingham Offspring cohort
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14969400/

水溶性シリカが不足するとどうなる?

水溶性シリカが不足するとどうなるかは科学的にははっきりと明らかになっていません。なぜなら、必須ミネラルかどうかも確定していないからです。必須かどうかわからないので不足したときの症状もわからないのです。

まとめ:今後のシリカ研究の進展に期待

シリカを含んだ健康商品やミネラルウォーターなどがたくさん発売されていますが、シリカの効果についてはまだ研究途上で、はっきりとはわかっていません。とはいえ、摂取しても無害であることは厚生労働省令などから明らかです。よって、実際に試してみて効果を感じたら愛飲するのも良いかもしれません。

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