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ブロモジクロロメタンとは?化学的性質や毒性、除去方法について解説

更新日 : 2022.02.01

ブロモジクロロメタンとは?

ブロモジクロロメタンとはトリハロメタンの一種である化学物質です。化学工業において溶剤や試薬として利用されています。さらに、水道水の浄水過程で生成される総トリハロメタンの1種としても知られています。人体にも影響がありますので、水質基準によって規制されています。常温においては液体で、揮発性が極めて高い物質です。

ブロモジクロロメタンの毒性

ブロモジクロロメタンには発がん性が疑われています。国際がん研究機関(IRAC)はブロモジクロロメタンを「発がん性の恐れがある」という項目に分類しました。今のところマウスの実験では発がん性が認められましたが、ヒトに対しての発がん性は十分な証拠が見つかっていません。

ブロモジクロロメタンは発がん性の他にも毒性がある可能性があります。食品安全委員会化学物質・汚染物質専門調査会の評価書によると、マウスにブロモジクロロメタンを投与する実験において、肝障害や腎臓の障害の可能性が認められました。こちらもヒトへの影響は認められていないと報告されています。とはいえ、人体に必須の栄養素などではないので摂取を避けるに越したことはないでしょう。

ブロモジクロロメタンと水道水

ブロモジクロロメタンは微量ながら水道水にも含まれているケースが多いです。なぜなら水道水の消毒の過程でブロモジクロロメタンが発生するからです。水道水の消毒には塩素が使われます。この消毒用の塩素と水道水の原水に含まれるフミン質と呼ばれる有機物が反応するとブロモジクロロメタンを含めた総トリハロメタンが生成されます。

日本の水道法ではブロモジクロロメタンを抑制するため、水質基準にこれらの物質の濃度を含めています。具体的にはブロモジクロロメタンの濃度は1リットルあたり0.03mg以下でなければなりません。もしこの基準を超えて検出された場合には通常の浄水処理に加えて活性炭処理などを行い、基準値以下に抑えます。

ブロモジクロロメタンは摂取を避けたほうがよい物質ですが、近年の水道水での検出状況を見ると、水質基準の10%未満の量しか検出されないケースが大半です。したがって、そこまで神経質になる必要はありません。

ブロモジクロロメタンの除去方法

ブロモジクロロメタンは家庭でも簡単に除去できます。除去方法は水道水を鍋ややかんに入れて沸騰させるだけです。ただし、沸騰させる時間が短いと逆にブロモジクロロメタンが増えてしまう場合があります。沸騰してから10分〜30分程度は沸騰させ続けましょう。

また、活性炭を使った浄水カートリッジの中にはブロモジクロロメタンを除去できる製品があります。多くの製品にはパッケージに除去できる物質が書いているので、ブロモジクロロメタンに対応している製品を選びましょう。また、浄水カートリッジの有効期限が過ぎると浄水能力が低下する場合がありますので、カートリッジの期限は守る必要があります。浄水器を通すと殺菌のための塩素も除去されてしまうので雑菌が湧きやすくなります。したがって浄水器を通した水はその日のうちに飲みきることをおすすめします。

まとめ

ブロモジクロロメタンはトリハロメタンの一種で、発がん性の疑いがある物質です。日本の水道水質基準でも1リットル当たり0.03mgを超えないように規制されています。ほとんどの場合、基準値を超えるケースはありませんので心配はいりません。もし心配なら家庭でも沸騰や浄水器などで除去できます。

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