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ジブロモクロロメタンとは?化学的性質や臭い、毒性、除去方法について解説

更新日 : 2022.02.01

ジブロモクロロメタンとは?

ジブロモクロロメタンはトリハロメタンの一種である化学物質です。発がん性を疑っている国際機関もあり、注意する必要があります。水道水を消毒するときに副産物として生成することで知られており、我々の身近に存在する物質です。

常温では液体の状態で存在し、無色透明の色をしています。クロロホルムと同じような甘い匂いがします。引火のしやすさについてはデータが無く、よくわかっていません。昔から工業用途に使われており、医薬品や農薬、殺菌剤、水処理剤の中間体に使われていたことで知られています。

ジブロモクロロメタンの毒性

ヒトに対する発がん性

ジブロモクロロメタンは一部の機関で発がん性が疑われています。WHO(世界保健機関)の下部組織である国際がん研究機関(IRAC)はジブロモクロロメタンを「ヒトに対する発がん性については分類できない」としています。一方で、アメリカ環境保護庁(EPA)はジブロモクロロメタンを「ヒト発がん性があるかもしれない物質」としています。

動物実験

ジブロモクロロメタンの発がん性については動物実験も行われています。アメリカ合衆国保健福祉省が1985年に実施した実験によると、マウス50匹にジブロモクロロメタンを2年間投与し続けたところ、肝細胞のがん発生率が有意に増加したそうです。しかし、オスのマウスではリンパ腫、メスのマウスでは血管腫のがん発生率が低下するなど明確な発がん性は認められませんでした。また、ラットを対象にした実験では、がんの発生率に変化はありませんでした。

【参考】NTP Toxicology and Carcinogenesis Studies of Chlorodibromomethane (CAS No. 124-48-1) in F344/N Rats and B6C3F1 Mice (Gavage Studies)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12748697/

環境汚染とジブロモクロロメタン

日本の化学物質排出把握管理促進法によってジブロモクロロメタンは第一種指定化学物質に指定されています。この制度はヒトや生態系への有害性があり、環境中に広く継続的に存在すると認められる物質を指定するものです。また、大気汚染防止法では「有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質」に指定されています。

このように、ヒトの健康に対する害は今のところはっきりとした根拠が見つかっていませんが、日本の環境関連の法律において有害な物質に指定されているので、摂取するのはできるだけ避けたほうが良いでしょう。

【参考】PRTR制度 対象化学物質/経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/prtr/2.html

有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質(248物質)/横浜市
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/kankyohozen/kansoku/kanshi_center/yogo/taki/haps248.html

ジブロモクロロメタンと水道水

ジブロモクロロメタンは微量ながら水道水の中に含まれる物質として知られています。なぜなら、水道水の消毒の過程で副産物として生成されるからです。水道水の原水に含まれるフミン質と呼ばれる有機物と消毒用の塩素が反応するとジブロモクロロメタンを含めた総トリハロメタンが発生します。

したがって、日本の水道水質基準ではジブロモクロロメタンの濃度を基準に含み、一定以上含まれないように規制しています。具体的には1リットル当たり0.1mg以下とされています。しかし、水質基準より多い量の検出は稀です。もし、検出されたとしても活性炭を使った特殊な浄水処理にかけて除去されますので、そこまで心配しなくても大丈夫です。

ジブロモクロロメタンの除去方法

ジブロモクロロメタンは家庭でも簡単な方法で除去できます。1つめの方法は沸騰で、水道水をやかんや鍋に入れて沸騰させるだけです。ただし、沸騰時間が短いと逆にジブロモクロロメタンが増えてしまう場合があります。したがって、10分〜30分は沸騰させ続けましょう。

もう1つの方法は活性炭のカートリッジを用いた浄水器の利用です。活性炭を用いた浄水器の中にはジブロモクロロメタンを除去できる製品があります。パッケージに除去できる物質が書かれているので確認しましょう。カートリッジの有効期限が切れていると浄水能力が低下する場合がありますので、カートリッジの有効期限は守らないといけません。

沸騰も浄水器もジブロモクロロメタンだけではなく消毒用の塩素も除去してしまいます。雑菌が湧きやすくなりますので、これらの方法で浄水した水は早めに飲みきることをおすすめします。

まとめ

ジブロモクロロメタンは大気汚染の原因物質として指定されている化学物質です。人体への害は今のところはっきりした根拠が見つかっていませんが、心配なら沸騰や浄水器によって除去できます。その際には消毒用の塩素も除去されてしまうので早めに飲みきりましょう。

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