アルカリ性とは何?酸性との違いや暮らしでの活用法を詳しく解説

「アルカリ性」は、皆さんも一度は耳にしたことがある言葉だと思いますが、具体的にどのような性質か分からない方も多いのではないでしょうか?アルカリ性は私たちの日常生活や自然界に深く密接しています。
本記事では、アルカリ性の特徴や酸性との違いをわかりやすく解説し、便利に活用する方法もご紹介します。こちらの記事を読んでアルカリ性の性質を知り、日常生活で役立ててみましょう。    

pH値でわかるアルカリ性の特徴や酸性との関係

アルカリ性や酸性とは、pH値を基準にした物質の性質を表す用語です。それぞれに異なる特性があり、私たちの生活や自然界で重要な役割を果たしています。
はじめに、pH値による違いや中和反応の仕組みについて詳しく紹介します。

分類はpH値で決められ、アルカリ性はpH値7以上

物質がアルカリ性、中性、酸性のどれに分類されるかは、pH値という尺度で決まります。pH値は0から14までの数値で表され、7が中性、7を超えるとアルカリ性、7未満は酸性を示します。
家庭で使われる重曹水(pH8〜9)や工業用の苛性ソーダ(pH13以上)などは、アルカリ水です。pH値を知ることで、物質の特性を生活に役立てられるでしょう。

酸性の性質についてはこちら:酸性とは?

アルカリ性と酸性が混ざると中和する    

アルカリ性と酸性の物質が混ざると、中和反応が起こります。具体的には、酸性を示す水素イオン(H⁺)とアルカリ性を示す水酸化物イオン(OH⁻)が結びついて水(H₂O)を生成します。この反応で、副産物として塩(食塩や硫酸塩など)が作られるのが特徴です。    
そもそも、pH値で中性の基準となるのは純水です。純水では、水素イオン(H⁺)と水酸化物イオン(OH⁻)が等しい割合で存在しており、pHは7を示します。中和反応が起こり、水素イオン(H⁺)と水酸化物イオン(OH⁻)の割合が等しくなると、水が発生するのはこのためです。    
中和反応は生活の中でも役立つものです。たとえば、制酸薬はアルカリ性成分で胃酸を中和し、胃の負担を軽減します。また、掃除でもこの中和反応を応用することができ、酸性汚れにはアルカリ性洗剤を、アルカリ性汚れには酸性洗剤を使う掃除法があります。このように、「中和」は健康管理や家庭の掃除で重要な役割を果たしています。

アルカリ性とは?特徴を詳しく紹介

ここからはアルカリ性の特徴として、アルカリ性物質の化学的特徴や身近な例について詳しくご紹介します。

酸性の汚れや臭いを中和する

水道水を電気分解したアルカリイオン水や、重曹を水に溶かしたものなど、アルカリ性を持つ水がアルカリ水です。アルカリ水は、酸性の汚れや臭いを中和する性質を持ち、重曹(炭酸水素ナトリウム)などが掃除や消臭に広く活用されています。
さらに、強アルカリ性の苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)は油脂を分解する「けん化反応」によって石鹸の製造に使われています。
苛性ソーダはタンパク質や油脂、有機物を分解する力があり、業者用の洗剤としても使われるのが特徴です。このようにアルカリ性物質は、日常生活や製品の製造現場などで欠かせない存在です。

アルカリ性は身近に存在している

アルカリ性は、自然界や私たちの生活の中でも身近に存在しています。自然界では、石灰岩や海水などが代表例です。これらは高いpH値を持つことから、地質や水質に影響を与えます。
一方、日常生活では、重曹、石鹸、セスキ炭酸ソーダなどのアルカリ性製品が広く使われています。
また、アルカリ性の食品添加物である「かんすい」は、ラーメンのコシを生む重要な役割を果たします。
他にもアルカリ性である重曹は食品添加物として、パンを膨らませるベーキングパウダーの成分にも使用されます。
このようにアルカリ性の性質は、自然や生活のさまざまな場面で活用されています。

アルカリ水を暮らしで活用する方法

アルカリ水は、特性を活かして日常生活のさまざまな場面で利用されています。ここからは、それぞれの具体的な活用方法をご紹介します。

料理に使う方法

アルカリ水は、料理の質を高めるのが特徴です。たとえば、ご飯を炊く際に使用すると、デンプンが分解されやすくなりふっくらとした食感に仕上がります。
また、野菜をアルカリ水に浸すと、アクが抜けてシャキッとした新鮮な状態を保てます。
さらに、肉や魚を下処理する際にも使えるのが魅力です。アルカリ水には余分な脂肪や臭みを取り除く作用があるため、仕上がりがおいしくなります。
このようにアルカリ水は、家庭での料理をよりおいしくするアイテムとして活躍するでしょう。

飲み水として利用する方法

お水を電気分解してアルカリ性にした「アルカリイオン水」は、飲み水としても健康維持に役立つとされています。適度なアルカリ性を持つお水は胃酸を中和しやすく、胃の負担を軽減する助けになります。また、体内のpHバランスを整える効果が期待できるため、運動後の水分補給としてもおすすめです。
ただし、アルカリ性が強すぎるお水は胃酸の働きを妨げる可能性があるため、適切なpH値(8〜9程度)のものを選ぶことが重要です。飲み水として取り入れることで、胃の調子を整えたり疲労回復をサポートしたりと、日々の健康管理に役立てられるでしょう。

掃除に使う

アルカリ水は、優れた汚れ分解力で掃除に役立ちます。特に油汚れや焦げ付きなど、酸性の汚れを中和する効果が高いのが特徴です。
油で汚れたコンロや換気扇にアルカリ水を吹きかけて数分置くことで、汚れが浮き上がりやすくなります。また、排水溝やシンクまわりのぬめりも効果的に除去できます。
アルカリ水は臭いの元となる成分を分解する作用もあるため、冷蔵庫やゴミ箱の消臭にも活用できるのが魅力です。環境にやさしい洗浄アイテムとして、多くの家庭で取り入れられています。

植物や家庭菜園で活用する    

アルカリ水は、植物や家庭菜園の管理に活用できます。
たとえば、中性に近い弱アルカリ水を土壌に散布すると、酸性に傾きすぎた土壌を調整して植物の成長を助けます。また、農薬や化学肥料の残留物を洗い流す役割もあります。
さらに、植物の葉や茎についた汚れをアルカリ水で優しく拭き取ることで、光合成を促進し、元気な状態を保てるのもポイントです。
ただし、植物に適したpH値は種類によって異なるため、使用前にしっかりと確認しましょう。主な植物の適したpH値は以下のとおりです。

酸性の土壌を好む植物ブルーベリー:pH4.5〜5.5
ツツジ:pH5.0〜5.5
ラズベリー:pH5.5〜6.0
中性に近い土壌を好む植物トマト:pH6.0〜6.8
キャベツ:pH6.5〜7.0
バラ:pH6.0〜7.0
アルカリ性の土壌を好む植物ラベンダー:pH7.0〜8.0
ローズマリー:pH6.5〜7.5
アスパラガス:pH6.0〜8.0

中性やアルカリ性を好む植物を育てる際、土壌改良にアルカリ水を活用するといいでしょう。アルカリ水は、環境に優しい方法で家庭菜園やガーデニングを助けるアイテムです。

アルカリ性の知識を暮らしに役立てよう

本記事では、アルカリ性の特徴や特性、酸性との違い、暮らしでの役立て方を紹介しました。
アルカリ性は、酸性や中性とともに私たちの生活や健康に密接に関わっています。アルカリ水は日常生活の中で料理や掃除、植物の管理などに役立ち、酸性と使い分けることで家事や健康管理を効果的に進める鍵となります。
これらの知識を日々の暮らしに取り入れることで、より快適で便利な生活を実現できるでしょう。ぜひこの記事を参考に、アルカリ性の特性を生活の中で活用してみてください。

〈参考サイト〉
合成洗剤|消費者庁
希釈水の水質とpHについて|日本油剤研究所
(2024-11-21)

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