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テトラクロロエチレンとは?発がん性や毒性、除去方法について解説

更新日 : 2022.02.01

テトラクロロエチレンとは?

テトラクロロエチレンとは工業的に生産されている化合物です。俗称として「パークレン」とも呼ばれます。主にドライクリーニングや金属の洗浄剤などに利用され、我々の身近に使われている物質です。平成元年まで法規制が無かったため、工場やクリーニング店から流れ込み、地下水から検出された事例があります。

しかし、テトラクロロエチレンは環境中に排出されてもなかなか分解しません。そのため、地下水や河川の汚染物質として知られています。したがって、化学物質審査規制法、水質汚濁防止法、大気汚染防止法などで規制されています。

テトラクロロエチレンの毒性

テトラクロロエチレンは動物実験で発がん性が認められています。マウスにテトラクロロエチレンを78週間にわたり投与し続けた結果、肝細胞腫瘍などによって死亡率が上昇しました。また、マウスにテトラクロロエチレンを103週間に渡って吸入させる実験でも肝細胞がんの増加が見られ、死亡率も上昇しました。さらに、ラットにテトラクロロエチレンを103週間に渡って投与する実験でも白血病の増加などが認められました。

また、ヒトの体についても影響を及ぼすことがわかっています。マサチューセッツ州ウォバーンにて、1970年代にテトラクロロエチレンで汚染された地域の白血病発症率が全国平均と比較して高い事実が明らかになりました。また、同じマサチューセッツ州の別の地域で白血病と飲料水のテトラクロロエチレン汚染の関係が示唆されています。もちろん、テトラクロロエチレン以外の汚染物質が影響している可能性はあるので、はっきりとしたエビデンスとは言えません。しかし、この他にもさまざまな地域でテトラクロロエチレンの汚染と発がん性についての関係が示唆されているのです。

これらの結果を受けて、国際がん研究機関(IARC)はテトラクロロエチレンについて「ヒトに対して恐らく発がん性がある物質」と分類しています。あくまでも「可能性がある」という話ですが、念のため摂取は避けたほうが良いでしょう。

テトラクロロエチレンと水道水

テトラクロロエチレンは水道法の水質基準によって規制されています。水質基準では1リットル当たり0.01mg以下でなければなりません。水道水から基準値以上の量が検出される事例はほとんどありませんが、基準値の10%を超える量ならば検出された事例があるため、水質基準に含まれています。

もし検出された場合には活性炭処理やオゾン処理、空気にさらして揮発させるエアレーションによる方法で除去されるので上水道ならそこまで心配いりません。しかし、井戸水などの地下水からは基準値以上の検出事例があるので注意が必要です。

テトラクロロエチレンの除去方法

テトラクロロエチレンは家庭でも沸騰や浄水器によって除去できます。沸騰で除去する場合は、鍋ややかんに水道水や井戸水を入れて10分以上沸騰させるだけです。10分以内しか沸騰させなかったらテトラクロロエチレンが残ってしまうので十分な時間沸騰させましょう。

浄水器の場合は活性炭を使った製品を使います。パッケージに除去対象物質が書かれているのでテトラクロロエチレンに対応したものを選びましょう。浄水カートリッジには有効期限があり、期限切れのカートリッジは浄水能力が落ちるので適切なタイミングで交換が必要です。また、浄水器を通した水は消毒用の塩素も除去されているため、雑菌が湧きやすくなります。早めに飲みきったほうが良いでしょう。

まとめ

テトラクロロエチレンは化学物質審査規制法、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、水道の水質基準などで規制されている有害な物質です。発がん性も疑われており、摂取は避けた方がよいでしょう。上水道から基準値以上が検出されるのは稀ですが、井戸水などの地下水は注意が必要です。心配ならば家庭でも沸騰や浄水器によって除去できます。

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