知っておきたい!水の用語集

温泉水とは?定義や効果、飲む際の注意点などをわかりやすく解説

温泉は古くから日本人に親しまれ、健康やリラクゼーションに役立つ場として広く利用されています。
温泉水には、多くの効果があるとされ、「温泉療法」などという言葉もよく耳にするのではないでしょうか。しかし、その詳細を知っている方は少ないかもしれません。
ここでは、温泉水の定義や効果、飲む場合の注意点について詳しく解説します。
健康のために取り入れたい方は、ぜひ最後までお読みください。

温泉水の定義とは?

はじめに、温泉水とはどのようなものなのか、詳しい定義をチェックしていきましょう。
温泉法による温泉水の定義で重要なポイントは「温度」と「含まれる物質」です。それぞれ確認していきます。

温泉法で定められている温度

温泉法では、温泉源から摂取されるときの温度が「摂氏25度以上」であることが、温泉水の定義の1つとされています。
この後に紹介する物質を1つでも規定量含んでいて、温度が摂氏25度以上であれば温泉水ということになります。
また、物質を含んでいて摂氏25度以下の場合は「鉱泉水」という分類になります。

温泉法で定められている物質

温泉水として認められる物質は、硫黄、鉄、ラドンなどがあります。例えば、硫黄泉は独特の匂いを持ち、皮膚病や関節痛に効果があると言われるものです。
また、鉄分を含む温泉は保温力に優れているので、体の内側からじっくりと温まり、冷え性の改善に役立ちます。さらにラドン泉は微量の放射性物質を含み、リウマチや神経痛に対する効果が期待されます。
温泉法で定められる物質について、物質名と規定の含有量を以下の表にまとめました。

物質名含有量(1kg中)
溶存物質(ガス性のものを除く。)総量1,000mg以上
遊離炭酸(CO2)(遊離二酸化炭素)250mg以上
リチウムイオン(Li+1mg以上
ストロンチウムイオン(Sr2+10mg以上
バリウムイオン(Ba2+5mg以上
フェロ又はフェリイオン(Fe2+,Fe3+)(総鉄イオン)10mg以上
第一マンガンイオン(Mn2+)(マンガン(Ⅱ)イオン)10mg以上
水素イオン(H+1mg以上
臭素イオン(Br)(臭化物イオン)5mg以上
沃素イオン(I)(ヨウ化物イオン)1mg以上
ふっ素イオン(F)(フッ化物イオン)2mg以上
ヒドロひ酸イオン(HASO42-)(ヒ酸水素イオン)1.3mg以上
メタ亜ひ酸(HASO21mg以上
総硫黄(S)[HS+S2O32-+H2Sに対応するもの]1mg以上
メタほう酸(HBO25mg以上
メタけい酸(H2SiO350mg以上
重炭酸そうだ(NaHCO3)(炭酸水素ナトリウム)340mg以上
ラドン(Rn)20(百億分の1キュリー単位)以上
ラジウム塩(Raとして)1億分の1mg以上

温泉水の効果を紹介

ここからは、温泉水がもたらすとされる効果を紹介していきます。

ミネラルが豊富なので身体の疲れを癒す

温泉水には多くのミネラルが含まれており、身体の疲れを癒す効果があると言われています。ミネラルが豊富に含まれた温泉水に浸かることで、身体が温まり、筋肉の疲れが取れ、リラックス効果が得られるのがメリットです。

飲用することで体内にミネラルを摂り入れられる

温泉に浸かるだけでなく、温泉水を飲用することで体内にミネラルを効率よく摂り入れることができます。
飲泉には、消化を助ける効果があるのが特徴です。温泉の成分が胃を刺激し、胃酸の分泌を促します。
さらに、便秘を改善し腸内環境を整える作用や、温泉水にふくまれるミネラルが全身に作用し血行をよくする効果も期待できるのが魅力です。
特定の泉質によっては、肝臓や腎臓の機能を助ける効果もあります。
飲泉はメリットが多くありますが、注意したい点もたくさんあるので、この後解説していきます。

 温泉水は飲める?注意点を解説

ここからは、温泉水を飲む上で注意したいポイントを紹介するので、飲泉に興味がある方はチェックしてみてください。

飲めるものと飲めないものがある

すべての温泉水が飲用できるわけではありません。
一部の温泉水は高濃度の鉱物や有害物質を含んでいる場合があり、体内に取り入れると健康に悪影響を及ぼすことがあります。
飲用が許可されている温泉水は、飲んでもいいことが明示されていることが多いので、必ず確認してから飲むようにしましょう。

特定の疾患がある方や妊娠中の方は特に注意が必要

特定の疾患を持つ方や妊娠中の方は、温泉水の飲用に注意が必要です。
例えば、高血圧の方がナトリウムを多く含む温泉水を飲むと、血圧がさらに上昇する恐れがあります。
また、腎臓病の方はミネラルを過剰に摂取すると腎臓に負担がかかる可能性も考えられます。
さらに妊娠中の方は、体内の水分バランスやミネラルの過剰摂取が母体や胎児に影響を与えることがあるため、注意が必要です。
持病がある方や妊娠中の方が温泉水を飲用する場合は、必ず事前に医師に相談するようにしましょう。

決められた量を守って飲む

温泉水を飲むときは、決められた量を守ることが大切です。
持病などがなく健康な方でも、過剰に摂取してしまうと体内のミネラルバランスが崩れ、健康に悪影響を与える可能性があります。
飲用できる温泉水の場合、温泉地や施設に推奨される飲用量が記載されています。
しっかりと確認して、適量を摂取するよう心がけましょう。

飲用に販売されているものは比較的安心

市販されている温泉水は、飲用に適した成分量で調整されているため、比較的安心して飲むことができます。
また、ろ過などの工程を通して飲みやすくなっているものも多いです。
ただし、購入前に成分表を確認し、自分の健康状態に合ったものを選ぶことが大切です。

温泉水を上手に取り入れていこう

今回は、温泉水の定義や効果、飲む場合のメリットや注意点などを詳しく紹介しました。
温泉水は、入浴して身体の疲れを癒したり、飲用して体内に必要なミネラルを補給するなど、上手に利用すると健康に役立てることができます。
とはいえ、温泉水ならなんでも飲むことができるわけではないので、飲用できるものかどうかをしっかり確認してから取り入れるようにしましょう。
特に疾患を持つ方や妊娠中の方は、医師に相談してから飲むようにしてください。
市販の飲める温泉水は、飲みやすく調整されているため比較的安全においしく飲むことができます。
気になる方は、好みの味や成分のものを探してみてはいかがでしょうか?

〈参考サイト〉
あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは|環境省
飲泉について|日本温泉協会
温泉利用基準(飲用利用基準)|環境省
温泉の定義|環境省
温泉の泉質のいろいろ|日本温泉協会
(2024-8-2)

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