暮らしに役立つお水の知識

ペットには水道水?ミネラルウォーター? どちらが適しているの?

更新日 : 2022.09.21

執筆者プロフィール

はじめての育児をスタートさせたばかりのライターの「なぎさ」。家のインテリアは夫のこだわりに従って、余計なものは買わないようにいつも注意している。「時短」や「手抜き」という言葉が大好き。赤ちゃん中心の生活にも少し慣れてきたところ。

ペットにミネラルウォーターを与えていいの?

犬や猫のペットを家族のように大切に飼っている人は多くいらっしゃいます。少しでもペットに健康で長生きしてほしいという思いは、皆さん一緒だと思います。
今回は犬や猫のペットに与える水について、話を進めていきます。文中の「ペット」は犬と猫を指します。ほかの生き物は該当しません。

大切なペットですから、ミネラルウォーターを与えたほうが、ペットの身体のために良いと思ってしまいますが、どうなのでしょうか?
日本のミネラルウォーターには軟水の商品が多いですが、海外のミネラルウォーターや国内の一部のミネラルウォーターには、マグネシウムやカルシウムが多く含まれる硬水の製品が多くあります。人間には影響のないカルシウム・マグネシウム量でも、ペットにとっては負担になる可能性があり、尿結石症を引き起こす原因にもなりますので、ミネラル成分が多く含まれる硬水のミネラルウォーターを与えるのは控えたほうが良いとされています。ペットにミネラルウォーターを与える際は、「日本のミネラルウォーターだから大丈夫!」と思わず、軟水であることをチェックするようにしましょう。

ペットの尿結石の症状として多いのは、頻尿や普段とは違う場所での排尿、血尿などです。ペットにこのような症状があれば、かかりつけの獣医師に相談し、ミネラル成分の少ないお水へ変更しても良いかもしれません。また、ペット用のミネラルウォーターなどもありますので、それを与えてみても良いと思います。

衛生面を考えるなら水道水が最適

ペットに与えるお水は、ミネラルの少ない軟水であることが求められるため、水道水が向いていると言われています。水道水が犬や猫に向いている理由を挙げていきます。

●水道水には塩素系の消毒剤が入っている
ペットが細菌を含んだお水を摂取すると、食中毒を発症し、下痢や嘔吐などの症状が現れることがあります。ミネラルウォーターには、塩素系消毒剤が入っていません。そのため、水道水と比べると細菌が繁殖しやすくなります。その点、日本の水道水ですと、塩素系の消毒剤が用いられていますので、食中毒の原因になる細菌の混入や繁殖を抑えることができています。水道水に含まれる塩素系消毒剤には、「健康に悪いのでは?」「なるべく摂取しないほうが良さそう」といったネガティブなイメージがあるかもしれませんが、日本の水道水における残留塩素濃度は、1.0mg/L以下という安全な数値に管理されています。これは、人やペットが安全に飲用できるレベルの数値です。

ペットが喉を潤したいときに、すぐにお水が飲めるようあらかじめお水を器にセットしている方は多いと思います。その結果、ペットの飲用水は、人が飲むお水に比べて長時間、常温に汲み置かれるケースが多いのではないでしょうか?
水道水の場合、常温で3日間程度なら、塩素系消毒剤の効果が持続します。つまり水道水なら、ペット専用の器に水を汲み置きしておいても、細菌の混入や繁殖をある程度防ぐことができるのです。

●水道水は軟水である
日本の多くの地域の水道水は軟水です。ペットには軟水が向いています。しかし、九州地方や沖縄県、関東の一部の地方などでは、水道水のミネラル成分が多い硬水の地域もあります。ペットに水道水を与える際には、自宅の水道水の成分をあらかじめ確認するようにしましょう。
また、井戸水もあまりおすすめできません。病原菌などが含まれている可能性があり、消毒設備などを必要とする場合があります。

熱帯魚はどうなのでしょうか?

では、熱帯魚を育てるのに向いているお水はどういったものなのでしょうか?
熱帯魚も犬や猫と同様に、カルシウムやマグネシウムの少ない軟水が好ましいと言われています(一般的に淡水魚は、弱酸性の軟水を好む魚が多いですが、種類によっては弱アルカリ性や硬水を好む魚もいますので、確認するようにしてください。)。

先ほども記載したとおり、ミネラルウォーターには硬水が多いので、熱帯魚には軟水の水道水を使用することが良いとされています。
もちろん水道水を、そのまま水槽に入れるわけではありません。水道水に含まれているカルキを人間が摂取しても害はありませんが、小さな熱帯魚にとっては有害で、魚の種類によっては大きなダメージになってしまうことがありますので、カルキ抜きをしてください。
カルキは、水道水を太陽の当たる日向に、屋内ならば2~3日、屋外ならば6時間以上置いておく必要があります。また、中和剤を使用することでカルキを抜くことができます。中和剤はお手軽で早く、魚にとって有害な塩素を除去できます。中和剤は、水道水を使用する前提で作られているので、それに従って水道水を使用しましょう。

水道水でペットと魚を大切に育てよう

ペットのために良かれと思って、ミネラルウォーターを与えようと思っていた人がいらっしゃるかもしれませんが、ペットや魚には残留塩素による殺菌効果があり、軟水である日本の水道水が適しているということがわかったと思います。ミネラルウォーターより、水道水のほうが断然安いですし、お手軽ですね。犬や猫、魚は水道水を使って、大切に育ててください。

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